札幌を中心に活動している企画・制作・空想集団「地球防衛堂」の公式HPです。
"Planning & production & fancy" group "Chikyu-boedo"

大怪獣トビラの世界

 


特撮映画といえば『妄映』
日本の三大怪獣といえば『ゴジラ』『ガメラ』そして『トビラ』
そんな口上から始まる『妄想映画夜話』は、くつした企画が定期的に開催する公開収録イベント『大そとづら』のレギュラーコーナーでした。
短時間で「怪獣の特徴」と呼ばれる3つのキーワードを基に架空の怪獣映画を知ったかぶりながら、でっち上げていきます。




くつした企画のくつした氏、特殊造形家の吉田ひでお氏、山田工作氏、そして地球防衛堂筆者によります、「知ったかぶりの戦い」の結果をまとめました。
その後、2ヶ月かけて「発掘」された当時のポスターと共にお楽しみ下さい。

※紹介順は上映年順(架空ですが)です。
※ストーリーを一つにまとめるためイベント時語られていなかった内容が含まれております。

 

トビラ(1955)
「鳥なのか?はたまたそれは虫なのか?否!トビラだ!」


【物語】
八嬢島を突如襲った局地的な大嵐は集落に甚大な被害をもたらした。
瓦礫の中から発見された犠牲者の特異な傷跡を見た警察は猟奇事件として捜査を開始するが島民は古くから伝わる呪いではないかと噂する。
やがて、多くの者が巨大な羽音を耳にするにつけ、隠し切れないと悟った地底人の末裔である島の長老は『トビラ伝説』を語りだす。
一方、そのころ、八嬢島近海に落下した隕石から現れた遊星人『シタビラメディアン』の女将軍『ムニエール』は、魚型ミュータント『ボーダラー』を操り島を襲撃し始めた。
防衛隊と島民が一致団結し、丸太とくさや汁で応戦する中、一人の少女が島に伝わる禁断の楽器『ギリジシ』を吹いてしまう。
巨大な水柱を上げ海底から現れたのは、トビウオ大怪獣『トビラ』だった。
くつした企画『夜の超専門学校』妄作シンポジウムより(2013/06/14)


【解説】
『トビラ』という言葉が初めて提示された瞬間から「怪獣の正体を誰が口にするのか?」
駆け引きというか、そこが争点でした。
私(地球防衛堂筆者)がのらりくらりと争点をかわす中、くつしたさんが精力的に主役不在のストーリーをでっち上げていきます。鳥ならばあまりにもベタだし、虫というのも面白みがありません。そんな時、特殊造形家の山田さんがホワイトボードに「トビウオ」を書き始めたのです。スマッシュヒットでした。


この回は、特殊造形家の吉田氏がいきなり『敵』を作り出したり、造形作家の中井あすみ氏が『呼び笛』を持参したり、東京在住の造形作家、鶴岡瑛子氏が『女性エイリアンの衣装』を送ってきてくださったりと、とにかく豪華で贅沢な知ったかぶり作業が続きました。
音楽家、今井大蛇丸さんによる即興曲『ギリジシのテーマ』も良い思い出です。

 

 

トビラ対カユミラス(1960)
「攻撃中止!ご主人の話を聞こうじゃないか!」



【物語】
南の島でひっそりと暮らしていた蚤の夫婦『カユミラス夫妻』
強欲で狡猾な妻は夫を焚き付け「東京進撃」を画策する。
銀座に上陸したカユミラス(妻)は、嬉々として大暴れするが、気が弱いカユミラス(夫)は
そんな妻の姿を見て、すっかり戦意を喪失してしまった。
カユミラス(夫)は、夫婦問題研究所の戸渡博士と懇意になり愚痴を聞いてもらう。
「一度、奥さんにガツンと言ったほうが良い」
その言葉を胸にカユミラス(夫)はカユミラス(妻)が暴れる銀座の最終防衛線に向う。
一方、そのころ、東京湾に出現したトビラは銀座方面に上がる火柱を眺めていた。
くつした企画『大そとづら』第2回より(2014/05/28)


【解説】
一つ目のキーワードが「妻が夫より大きい」
その瞬間から「ノミかな?」と踏んだ中央二人に対し、「え!アンコウじゃないの?」という造形陣お二人の驚きの声が聞こえます。こういうところが『妄想映画夜話』の醍醐味です。

 

 

クルマ対サクラそしてトビラ燃えるような恋がしたい(1964)
「あの生物は群体…いわば、かき揚げのような状態なのです!」


【物語】
オリンピックに湧く東京に巨大な怪物が現れた。
防衛隊の火炎攻撃により、一度は焼け焦げになったように見えた怪物だったが
怪物は『ゾエラ』とよばれる小エビ型生物の「群体」であったため、進撃の勢いが止まらない。
『サクラ』と命名された群体生物は、まるでかき揚げのような香りを漂わせながらオリンピック開催中の代々木公園に侵入した。
『サクラ』はここで大エビ怪獣『クルマ』と再会を果たす。
二大怪獣の求愛行動が始まりオリンピック競技は中止せざるを得なくなった。
やがて求愛行動は激しさを増し突如出現した『トビラ』も、ただ傍観することしか出来なかった。
くつした企画『大そとづら』第1回より(2014/03/22)


【解説】
二つ目のキーワードが「エビが好き」
エビを捕食するのかと思いきや「え?エビに恋をするのはエビでしょ?」とくつした氏。
そこに山田氏が「かき揚げ」というアイディアを捻り出し・・・。
私といえば・・・時間内に怪獣の名前が浮かばず・・・悲しかったです。

 

 

トビラ外伝モンドド対ゴロゴン(1969)
「ああ!なんて島なの?まるでここは怪物島じゃない!!」


【物語】
日本のマクロネシア諸島調査団は、地図に載っていない島を発見。上陸する。
調査団は絶滅したはずの「幻の飛べない鳥」ドードー鳥の怪物「モンドド」に出くわした。『モンドド』は現れたキウィーの怪物と『トビラ』に襲いかかり三つ巴の戦いを演じる。キウィーは倒され、『トビラ』は敗走した。
調査団の一人が『モンドド』の足がキャタピラーになっていることに気づく。
実は『モンドド』は、マッドサイエンティスト『ベルヘルムラングドシャー博士』が開発した生体兵器だったのだ。子供を殺してしまいその後悔の念で凶暴化したドードー鳥に大型化などの改造手術を行っていたのだ。すぐさま調査団は島からの脱出を試みるが、そこに島の秘密を守る防衛システムを搭載した生体兵器『ゴロゴン』が現れる。
万事休す。
と、そこへ『トビラ』が戻ってきた。『モンドド』の悲痛な鳴き声が響く中、『モンドド』『ゴロゴン』『トビラ』の残酷なバトルロワイヤルが始まる。
くつした企画『大そとづら』第4回より(2014/09/20)


【解説】
一つ目のキーワードは「今は放送出来ない」
二つ目のキーワードが「二度と聞きたくない鳴き声」
残酷描写が売りのモンド映画で主役は「ドードー鳥」という映画になりました。
放送禁止というキーワードから、吉田氏は「指の数に問題がある怪人」という、業界人ならではの着眼で素早く(6分!)粘土モデルを作り上げます。その怪物のくつした氏による「国家権力を表現している」という後付け設定に誰よりも驚いていたのが製作者本人だったのが面白かったです。

 

 

スペースケセランパサランの福音withトビラ(1972)
「信じられないかもしれんが、あの空飛ぶ江東区の推進力は彼らの”自信”なのじゃよ!」


【物語】
うだつの上がらない薄毛の会社員、通称『ヤカン』は、ある日の会社帰り、道端に落ちていたカツラに襲われる。
カツラの正体は宇宙寄生生物『スペースケセランパサラン』だった。
翌日、カツラを被った『ヤカン』は、言いようのない「自信」に満ち溢れた。
『ヤカン』が恋焦がれていた同僚のOLから告白され有頂天になった瞬間、江東区一体を激震が襲う。激震の正体は『ヤカン』と同じようにカツラを拾った者達からみなぎった「自信」からくるパワーだった。『スペースケセランパサラン』は宇宙に帰りたがっていた。しかし、宇宙船が壊れてしまったため、人々に寄生し、自信を持たせることによってそのパワーで宇宙に帰ろうと考えたのである。空高く飛び上がる『江東区』は『やかん』を乗せたまま大宇宙へと旅立っていく。
突如現れた『トビラ』は別れを惜しむようにいつまでも『江東区』の周りを回っていた。
くつした企画『大そとづら』第3回より(2014/07/26)


【解説】
かつて「人々の自信」を推進力に浮上した街があったでしょうか?
吉田氏は、コーナー中ずっと「江東区」を「後頭部」と聞き間違えていたそうで…
まっ「かつら」の話ですからそれはそれで良いのですが。
もう、ほとんど『トビラ』は出てきません。これもプログラムピクチャーの宿命なのでしょうか?
ところで…キーワード「グッドデザイン賞受賞」って何だ?
※この回、発掘されたポスターは、なぜか「アメリカ版公開版ポスター」です。



 








 



当サイトはリンク・フリーです。
Copyright (C)2010 Chikyu-boedo. All Rights Reserved.
Mail:
info@chikyu-boe.com