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空想科学ドラマ「エンジェーリアン」

1973年(昭和48年)10月〜1974年(昭和49年)7月放送  全43話

制作:東宙テレビ制作部
放送:コトブキテレビジョン


【主題歌】

光輝く白き世界に
戦う翼が舞い降りた
はるか彼方、宇宙の果てから
正義のパワーがこだまする
飛べ!叫べ!
戦う天使
いざ立て
いざ立て
エンジェーリアン
我らの希望は
エンジェーリアン

【あらすじ】
197X年。突如、日本列島を怪獣が襲いはじめた。
これらの怪獣は日本侵略を企む超次元人類アーグマー人が送り込んだものだった。
日本政府は急遽MAG(モンスターアタックグループ)を結成。
自衛隊との連携のもと、怪獣殲滅の行動に出た。
しかし、強力な怪獣たちの前に歯が立たない。
そのころ、下町の保育所の保母「ホシヅカミサ」はMAG対怪獣「コブラドン」の戦いの巻き添えで瀕死の重傷を負う。
彼女は子供達を守るため戦闘区域に入り込んだのだ。
薄れていく意識の中で彼女は光に包まれた天使を見る。
光の天使は、彼女の勇敢な行動を見て感銘を受けたという。
天使はミサと同化。ここに「エンジェーリアン」が誕生した。
蘇ったミサはMAGに入隊。日本の平和を守る誓いを立てたのだった。
(第一話 戦う天使が舞い降りた)

 

【登場人物】
ホシヅカミサ隊員
対コブラドン戦の戦闘区域に入ってしまった保母はエンジェーリアンと同化。
授けられた「エンジェールペンダント」が光ると同時に「エンジェーリアン」に変身する。
MAG入隊後はエースパイロット・エースシューターとしての才能が開花する。

サガミシンイチ隊長
元自衛隊統合作戦部長
MAG入隊後も陸・海・空自衛隊の緊急出動命令権を持つ。
通常は基地内で指揮をとるがミッションによっては「MAGコマンダー」に搭乗。前線指揮をとる。

カジマカンタ隊員
元陸上自衛隊突撃戦車大隊
陸上攻撃担当。MAGモービルでコマンダー・ファイターを支援する。

ソカベユリコ隊員
元海上自衛隊通信部隊
コンピュータ関連の知識も豊富で情報分析能力は秀逸。
又、動物学者としての顔も持ち、怪獣生態分析も担当

【MAG】
MAG(MONSTER ATTAC GROUP)
MAGは日本への怪獣襲来を迎え撃つため組織された攻撃部隊である。
MAG本部は東京湾海上にある半径200mの円盤状の構造物であり、大規模な怪獣災害があった場合や本部自体に危機が生じた場合、構造物そのもが飛翔することも可能である。
職員は200名。そのうち精鋭の攻撃チームは5名である。
又、数々の怪獣攻撃メカが装備されている。

MAGコマンダー  4人乗り大型戦闘機。前線指令室の役目も担う。
MAGファイター  主力戦闘機。多数配備。
MAGモービル   日産ブルーバードの改造強化型 レーダー&レーザー装置を装備
MAGダイバー   日本海溝も潜行可能な特殊潜水艦(本編には登場しない)
MAGドリラー    地底戦車(第6話で登場)
MAGスペース   宇宙ステーションαへの移動手段に使われるほか、宇宙怪獣の迎撃に使用。
MAGシュート    MAG隊員が携行する銃。アタッチメントを切り替えることで数パターンの光線を発射できる。
MAGレーザー    ソカベ隊員が開発したレーザーライフル。
宇宙ステーションα 日本上空400kmに浮かぶ観測ステーション。




【解説】
1973年は特撮テレビ史上最多の番組が放送された年である。
この年、民放各局の特撮番組は隆盛を極めていた
円谷プロは10周年記念作品として「ウルトラマンタロウ」(TBS)「ファイヤーマン」(NTV)「ジャンボーグA」(毎日放送)を制作。
東映は「仮面ライダーV3」「キカイダー01」「イナズマン」(NET)「ロボット刑事」(フジ)
東宝は「流星人間ゾーン」(NTV)
更に弘宣社のレッドバロン(NTV)国際放送の魔人ハンターミツルギ(フジ)・・・まさに「特撮番組戦国時代」の様相であった。

この流れの中、完全に遅れをとったのがコトブキテレビだった。
当時、コトブキテレビには「特撮SFドラマ」枠が一つも無かった。
コトブキテレビは焦っていた。番組ラインナップの中に「特撮番組」が欲しい。子供達を惹きつける強力な企画を・・・。
しかし、既存の制作会社は、他局への番組供給に手一杯という状況が続いておりコトブキテレビは制作体制の模索から始めなければならなかった。そこへ名乗りを上げたのが「東宙テレビ制作」である。1970年株式会社東宙から独立した「東宙テレビ制作」は、以来、コトブキテレビのホームドラマを担当してきた。東宙テレビ制作としては、制作枠の拡大を図りたい時期だった。
しかし、特撮番組の経験は無い。そこで、東宙より「コングロン」や「太平洋戦争シリーズ」を担当したスタッフを選抜「特殊効果室」を新設。
また、プロデューサーとして「南洋大怪獣コングロンシリーズ」(64〜)「第三次世界大戦勃発」(71)
等を手がけた卯月敬重氏を招聘。脚本も東宙文芸路線担当からプログラムピクチャー担当まで幅広い人材が投入することで製作体制を短期間で整えたのだ。


コトブキテレビとの初打ち合わせから4ヶ月。
奇しくもウルトラマンタロウの放送が始まった1973年4月6日コトブキ初の本格特撮番組「エンジェーリアン」の制作は開始された。
主演には、この手の番組では異例の女性主人公として第四代東宙プリンセスアクトレス角倉ヒカルを抜擢。(後に彼女は東宙特撮女優として長く活躍することとなる)
脇を桃山豪・田野板浩次といった東宙映画常連の俳優陣で固め、重厚な仕上がりを狙った。順調な制作の滑り出しに大きな手ごたえを感じたコトブキテレビは、無謀にも、放送時間を金曜夜7時に設定。「ウルトラマンタロウ」という巨大コンテンツに真っ向勝負をかけた。こうして1973年10月5日東宙−コトブキテレビ初の本格特撮ヒーロー番組「エンジェーリアン」第一話が放送されたのである。
丁度、ライバル「ウルトラマンタロウ」は後半戦に突入。「僕にもタロウのシナリオが書ける」と揶揄され中だるみしていた時期であった。
若者がヒーローの魂を受け継ぎ「変身」をしたり防衛チームが登場する等、王道のフォーマットは、使用されているものの「女性が変身する戦う天使」という設定とそれをビジュアル化した、コスチュームのセクシーさも相まって大人の視聴者を取り込むことに成功。エンジェーリアンの視聴率は「タロウ」に肉薄するまでになった。


明けて1974年4月。ライバル「ウルトラシリーズ」は第6弾「ウルトラマンレオ」の放送を開始した。
番組後半戦を迎えた「エンジェーリアン」もシリーズ化を見越した強化策として「レオ」同様、当時流行していた過激なカンフーアクションを取り入れたストーリーを展開。タイトルも「戦え!エンジェーリアンドラゴン」に変更。番組の人気に拍車がかかった。
すべては、上手く行っているかのように見えた。


しかし、番組終盤、突然の悲劇がエンジェーリアンを襲った。
1974年7月に来日したバチカン、ローマ法王庁の「かなり位の高い人物」が、偶然、本作を視聴してしまったのだ。「天使が異教徒の武術を使って戦い」「しかも天使の輪をエンジェールリングカッターと称して生き物を殺める武器として使う」ことに激怒。外務省を通してコトブキテレビに抗議が寄せられたのである。
事態を重く見たコトブキテレビは、急遽「エンジェーリアン」の放送を打ち切り、以後、一切の再放送を行っていない。
1974年8月ウルトラマンレオはウルトラシリーズ始まって以来の視聴率一桁を記録。折からのオイルショックによる制作費の高騰などの問題を抱え後にシリーズ終了を宣言することとなる。エンジェーリアンが強制的に人々の記憶から消されたと同時に「特撮番組」衰退が始まったのは歴史のいたずらとしかいいようが無い。






 

 

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